相続財産に入らない物

被相続人が残した物屋財産の中には相続財産とみなされない物もたくさんある。換金性のない動産は遺産ではなく一般的に形見分けの対象となる。お墓や仏壇なども相続財産にはならない。これらは継承者に引き渡される。被相続人の葬式のときに集まった香典も喪主に対して支払われる物と解釈されるため遺産とはならない。葬儀代は相続税の課税価格から控除できる。
もしもの時はいつ来るのかわからない。もしもの時に、家族や身近な人に伝えたいことがあるのなら遺言書を用意しておこう。ただ、遺言書を書いただけでは、もしもの時に執行されない場合がある。公証役場で遺言書を公正証書として作成してもらえるので相談に行くのもいいだろう。最後に伝えたい、最後の手紙になるだろう遺言。きちんと伝わるように専門家の協力を得よう。
【衝撃事件の核心】

 小売り世界最大手「ウォルマート・ストアーズ」による大手スーパー「西友」の株式公開買い付け(TOB)に便乗した“錬金術”が12月上旬、東京地検特捜部に摘発された。金融商品取引法違反(インサイダー取引)の罪で在宅起訴されたのは、ファッション流通情報会社代表取締役だったが、むしろ関係者に衝撃を与えたのは情報伝達者が妻で西友元社外取締役だったことである。ファッションビジネス業界の第一人者であり、政府の審議会委員も歴任するなど、その輝かしい名誉が汚れたことは否めない。何気ない夫婦間の会話は1千万円以上の不正利益をもたらしたが、代償はあまりにも大きかった。(花房壮)

 ■関与は認定できず…苦渋の会見

 今月7日午後、東京・霞が関の合同庁舎7号館の記者会見室。会見に臨んだ証券取引等監視委員会幹部の歯切れは今ひとつだった。

 「(インサイダー取引への)関与の認定には至らなかった…」

 この日の会見は、金融商品取引法違反(インサイダー取引)の罪で、東京都渋谷区のファッション流通情報会社「東京ファッション・インスティテュート」と同社代表取締役の尾原嘉道被告(73)=同9日に同罪で在宅起訴=の告発に関する説明が行われていた。ただ、情報伝達を行ったとされる西友元社外取締役の妻(72)のインサイダー取引への関与について記者側から質問が出ると、幹部の表情には険しさが加わった。

 起訴状などによると、尾原被告は平成19年10月、ウォルマート側が西友を完全子会社とするためTOBを行うとの情報を妻から入手。同月22日のTOB公表前に、東京ファッション・インスティテュート名義で西友株19万9千株を約1734万円で、自分名義で6万9千株を約602万円で、買い付けたとされる。そして、尾原被告は公表後に売り抜け、約1300万円の利益を得たという。

 妻に疑惑のまなざしが向けられたのは、買い付け名義の点にあった。東京ファッション・インスティテュート名義で買い付けたケースでは、実は当時、西友社外取締役の妻も尾原被告とともに同社の代表取締役に名を連ねていたからである。

 登記情報によると、同社はファッションビジネスに関する国際情報の収集などを目的に昭和61年7月に設立。妻は平成2年5月に代表取締役に就任し、尾原被告も12年11月から代表取締役に就いている。

 監視委は今年3月に強制調査を実施。2カ月後の5月に妻は代表取締役を退いているが、「ファッション業界に精通している妻の存在は同社で大きかったのではないか」とみる関係者もいる。

 ■「お目付け役」の自覚は?

 しかし、最終的に立件されたのは尾原被告だけだった。妻の関与は認められなかったのである。

 関係者の話を総合すると、19年10月1日、TOB協議に向けた西友取締役会の開催を伝える電話を取ったのは、尾原被告だったとされる。当時、妻は不在だったが、あとで電話の趣旨を伝えた際、尾原被告は西友に対するTOBが実施されることを認識したという。さらに、ウォルマート側から取締役会にTOBの提案があった同4日にはより確実な情報を入手したとされる。

 尾原被告の手帳には妻から伝達されたとみられる内部情報のメモが残っていたことも、伝達経路を特定する上で大きな決め手となったようだ。

 一方、妻は関与について、一貫して夫の取引を知らなかったと否定。結果として関与は認められなかった。

 ただ、妻にも厳しい視線が注がれている。外部からの“お目付け役”である社外取締役の立場にいながら、夫婦の会話とはいえ、内部情報を伝達したからである。

 社外取締役とは取締役会の監督機能を強化するためのポスト。監査制度を補完する役割もあり、代表取締役などと利害関係のない外部の有識者や他社の経営者らが就任するケースが多い。

 妻は西友以外にも別の流通会社の社外取締役に就任したことがあるが、流通業界での相次ぐ起用は、その輝かしいキャリアに起因しているようだ。

 大学卒業後、繊維メーカーに就職した妻は、米国の大学でファッションビジネスを学び、帰国後は業界の教科書にもなっている著書を出版するなど業界の第一人者として知られている。また、文部科学省や経済産業省の審議会委員など多くの公職にも就いたことがあり、「業界では知らない人はいない」(関係者)といわれている。

 こうした輝かしいキャリアでありながら、結果としてインサイダー情報の“伝達役”を担ったことについて、証券業界からは「夫婦間の会話で内部情報が漏れたとはいえ、やはり、立場上、もっと注意するべきだったのではないか」

 日頃から内部情報の漏洩(ろうえい)防止に注意を喚起している監視委からは「気を許した夫婦間の会話内容まで規制することはできない。ただ、自覚してもらうしかないだろう」(幹部)と警鐘を鳴らしている。

 ■増える親族、友人のインサイダー取引 

 会社関係者である妻から内部情報を得てインサイダー取引を行った尾原被告のようなケースは、ここ数年で増加傾向にある。

 監視委のまとめによると、インサイダー取引で17年度から導入した課徴金勧告では、平成21年度に会社関係者に対する勧告が13件だったのに対し、会社外部の第一次情報受領者への勧告は21件に上り、初めて件数が逆転している。

 「会社関係者には研修などを通じてインサイダー取引に対する認識が深まったと思われるが、友人や家族などの外部者に対してはどうしても口が滑ることがあるのかもしれない」

 監視委幹部は心理的距離感の近い“身内”に内部情報を漏らす傾向に警戒を強める。

 ただ、対策にも限界はあるようだ。

 「伝達側もまさか、知人などの相手がインサイダー取引をするとは思っていない。内輪の会食などで気が緩むときなどは特に内部情報を漏らさないよう注意が必要だ」と話す。

 昨年12月には総合電機トップの日立製作所(東京)による株式公開買い付け(TOB)をめぐり、同社役員秘書である姉から情報を入手した弟がインサイダー取引をしたとして、監視委から課徴金752万円の納付命令勧告が出されている。

 酒席での情報漏洩もリスクが高いとされる。

 今年6月、「山崎製パン」(東京)が札証上場の中堅パンメーカー「日糧製パン」(札幌市)と業務資本提携を結ぶとの内部情報を入手した会社役員が、インサイダー取引で25万円の課徴金勧告を受けた。

 この役員は山崎製パンの取引先に所属。日糧製パンに出向することになった山崎製パン社員から送別会の席で業務提携話を聞いたのだった。

 同窓会、会社の元同僚との会食、共働きの夫婦間の日常会話…。つい気が緩んで内部情報が伝達される機会は少なくない。金融商品取引法では会社以外の人が直接、内部情報を聞いてインサイダー取引をした場合は課徴金や刑事告発の対象になる。「不正が発覚した場合、取引者は解雇される可能性が高い。情報伝達者も社内で何らかのペナルティーを受けるだろう」と監視委幹部は話す。

 夫婦間の日常会話が晩節を汚すことになった西友元社外取締役夫妻の教訓は、相次ぐインサイダー取引への教訓となるだろうか。

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